2007-05-01から1ヶ月間の記事一覧

架空の男性Rについて考察

人は彼のことを、完璧な人間だと言う。 もう少し観察力の高い人になると、プライドの高い人間と評する。 だが彼の兄だけは、劣等感の固まりだと見抜いている。 彼は会社員として、缶チューハイの企画を5年間続けていた。 3年目にバーテンダーがプロデュース…

架空の女性Sについての考察

彼女は風俗街で、性欲処理をなりわいにしているアンドロイドだった。 客を店に連れ込むところから仕事が始まるのだが この業界で生きていくのは、彼女達にとって難しい。 人間が圧倒的に好まれるからだ。 たとえば真夏日の昼間に、着物を着て客を引くことも…

架空の国Nについて考察

年に一度だけ、一週間だけ、カーニバルが開かれます。 国中から人が集まり、カバもウサギもアンドロイドだって集まり みなが、浮かれ、踊り、踊るのです。 アンドロイドは本来、祭りのようなものを好みません。 タカが外れるからこそ、面白いのが祭りですが …

架空の女性Rについて考察

彼女は親を尊敬している。 そして、信頼している。疑ったことなど一度もない、と言いたいところだが どうしても信じられないことが、ひとつだけある。 それは、生まれについて。 彼女の親は、彼女に父親がいないと言う。生物学的に。 彼女には不思議な力があ…

あじさい

サニーデイ・サービスばかり聴いている。 というか、『あじさい』という曲ばかり聴いている。 さいだぁのストロオに細い指を絡ませて 遥か遠い蜃気楼で君が笑うのだからたまらない。 しかも君は、『可愛いひと』なんだから、もう何も望むものはありません。 …

ハイドラ(Hydra)…金原ひとみ

まずタイトルがいい。 帯に書かれた説明文には「最新恋愛長編」と書かれているのに 題名が「ハイドラ」だもの。 この作者はいつもタイトルがいい。 「アッシュベイビー」「AMEBIC」「オートフィクション」 言葉の選び方が、何かを鋭く突いている。 そのうえ…