あじさい

サニーデイ・サービスばかり聴いている。
というか、『あじさい』という曲ばかり聴いている。


さいだぁのストロオに細い指を絡ませて
遥か遠い蜃気楼で君が笑うのだからたまらない。
しかも君は、『可愛いひと』なんだから、もう何も望むものはありません。
その上、逆ナンされるわけでしょう。
さらに縁側の花鋏を見て、くだらないことを考える。
誰がうまいこと言えと。


すごいなあと思うのはこの歌詞が
こういうのっていいでしょう? という気分や情景を
こういうのっていいでしょう? という方法で
表現されているという点につきます。
村上春樹がなんかの小説で
急に眠くなってバタンと寝てしまうというシーンを
灰色猿がやってきてハンマーで頭を殴る、っていう
現実味ゼロの表現に置き換えていたりしたけれど
詩だからいくら濃くてもかまわないでしょうというスタンス。
あじさいは、いわば全編灰色猿です。
さらに主人公は、神様を完全に味方につけた男。


そもそも表現したいものが
現実とは離れた世界にあるのだから
これでもいいんじゃないかって気がします。