身を委ねる

たとえば音楽の海であるとか
たとえば海岸で燃える焚き火であるとか
自分よりも大きい存在に、身を委ねていたいと思うことがある。


川の流れのようなその空間を、たゆたっていれば
全ての疑問を置き去りにしたまま
無重力状態に留まっていられるのではないかと
分かりません、それは思考放棄なのでしょうか
つまり私たちは、時間の流れというものに
いつも急き立てられていて、不安で
明日の予定、明後日の予定
いつか成さねばならぬこと、果たすべき義務
そういうものの数々を認識しながら
逃げるわけでなく
捨てるわけでなく
ただ一時的に、忘れるという
一時的に、そういうものの存在しない世界に行くという
手を広げた私は
大きな存在に、背後から包み込まれ
全身の力を抜けること
何の力も存在しない世界
私は
そこに
身を委ね
そして、信じる。


世界を満たす大きな力を。
世界を満たす
大きな、力を。