シフト

馬鹿馬鹿しい話だけど
駅から会社に向かう道中
爆音で音楽を聴きながら歩きつづけ
その右足より左足、左足より右足が
少しずつシフトした地面を踏みしめ
やがて、気づかないうちに美しい世界へと辿り着いた僕は
地下道から地上に登る階段の先に
たとえば春のように暖かい銀世界に辿り着いているのではないかと
それは逃避じゃなく妄想でもなく
むしろ可能性という言葉がよく似あう景色
とにかく、僕は切ない気持ちでいる。
どこまでもいけるという希望は
言葉だけをそのままに、どこまでもいけてしまうとか
どこまでいったって、といった響きを帯びてきて
それでも希望の輝きは失いたくないと
そう思わずにはいられない、切なさ。