長嶋有

この作家はほとんど天才なんじゃないかと三冊目の本を読んで思った。文体そのものが、浸っていたいくらいに美しく、組みあわせの発見にあふれている(そして話はほとんどが地味である)。まるで決して可愛くはないけれど話すと面白い女の子のような(と、長嶋有の顔写真を見ながら書いているわけではないが)そんな小説がどんどん出てくるのだ。文字を読むことが面白い。さながら感情と単語の科学実験室に迷い込んでしまったような感覚である(そこで語られるのは古くさい童話なのだが)。