そして女子高生は踊る

黒い雨が降った次の日は、アスファルトにヒビが入る。
ヒビを長い時間眺めていると、やがて全てが反転する。
まずアスファルトがあったのか、ヒビがあったのか
ヒビこそ始めから存在していて、それ以外はあとからできたんじゃないか。
(これはもちろん脳内だけでの話)


僕はスーパーマンよろしく、超高速で飛ぶ。
ただしアスファルトすれすれを。
反重力と大気圧に、強く押し出されているだけなんだけどね。
背中には女子高生が3人乗っていて、少々蟹股のダンスを踊りながら真面目顔だ。


中央の女の子は、美しい長髪で
スカートは膝が完全に隠れる長さ(もちろん制服)。
白いセーターを着ている。
彼女は普段、生徒会長なのです。


教室では前の席。理科のときだけ赤い眼鏡。


背徳が最大の興奮なので
生徒会室で、よくえっちをする。
目立たない秀才を誘惑したのだ。
彼はきっと、愛や恋に悩んでいるのだろうね。
彼女の考えていることは至極単純。
ああっそこ、もっと、きもちいい。


閉められたカーテンの隙間から、無数の仮定視線、レイが刺す。
うなじを、腰を、尻を。
僕は風を切る。
女子高生は感覚を遮断して踊るのだ。


ヒビはやがて、裂け目と呼べるほどに大きくなる。
(昔ファミコンをアンプにつないでディストーションをかけた)
気を付けなければ、反重力が重力に変質する深淵に、吸い込まれてしまう。
(僕の軌道を追う静止したウサギ!)


僕は何から逃げているんだっけ?