Shift-key

僕のシフトキーは
聴音の時に使うボタンによく似ている。
親指の第一関節ほどの大きさで
ポケットに隠したまま押すことができる。


すると、僕は位置を変えぬまま
世界がシフトする。
道路の白線以外の部分は
溶岩へと姿を変え
駅の改札は、誤った切符の持ち主を裁く
剣山へと姿を変える。


この人には、これを言っても無駄だ。
そう思った言葉を飲み込む癖が
僕には、ある。
実際には無駄かどうかなどわからないわけで
つまり、その言葉を伝えるのが
結局のところめんどくさいから
無駄だということに