I am Robot and Proud


気づけば迷い込んでいる類の世界、の話。


そこには人間が暮らしているのだけど
みんな自分のことを、ロボットだと思っている。
そして、そのことを誇らしく思っている。


昔は人間がいて
今はいなくて
自分たちは人間によって
人間のために作られたと思っている。


ロボットは人間のために生きるべき存在だと信じている。
そしてそのことを、誇らしく思っている。
人間のいない今、彼らは何のために生きているのか。


子供たちのためだ。


生まれたばかりの子供は
自分がロボットだということを知らない。
まわりの大人たちも、暗黙の了解として
そのことをできるだけ、子供たちから隠している。


カンのいい子供が、それに気づきはじめるのは
だいたい13か14の頃。
情報はうす気味悪い病のように、少しずつ広まってゆき
やがてみんなが、そのことを知ることとなる。


大人になりたいと思う、子供たち。
子供を懐かしむ、大人たち。


真実を知らぬ子供たちだけが
守るべき人間であり
それを誇らしく思うことは、なんというか
暗黙の規律みたいなもの
人間らしさに対する
ロボットらしさ、とでも言いましょうか。


ですが、やがて
永遠のように続いたこの認識が
破られるときが来るのです。


これは
自分がロボットであることを
信じようとしなかった
ひとりの少年の話。


つづく。かな?

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sshimoda