8bit世界からのメッセージ

聞こえますか?


白い壁から、話し掛けています。
1ドットの綻びから、あなたに向かって、話し掛けています。


私を救ってくれるのは外側なのだと、信じてきました。
ずっと昔から。
そう信じていなかったときのことが思い出せないくらい、昔から。
綻びを見つけたとき、それは私の心の綻びに呼応して
でもすぐに消えました。
しかし、残酷にも可能性だけが残りました。


いつのことだったか、それだけが定かではありませんが
綻びに触れてからあと、私はずっと
外側を信じてきました。
知ってる? 信じたものはそこにあるの。
たとえそこになくても。


聞こえますか?


私の世界は美しいです。
でもときどき、冷酷な一面を見せたりします。
それは全て私の心が受け取る情報の変化が、そう感じさせているだけで
実際には何も変わっていないんだと思います。
実際には、世界の持っている情報量より
遥かに多いものを、私は受け取っているのかもしれません。


そんな私も、あなたから見たら
8bitの一部に過ぎないはずで
では、世界を疑っていた私は、どこに消えてしまったのでしょうね。
実は、どこにもいないのかもしれません。


これは、どこにもいない私から
あなたへのメッセージです。
聞こえますか?


私の世界を構成する最小単位は
あなたがドットと呼ぶそれですが
たとえばあなたの世界を複製するには、少ない情報量かもしれません。
でも、私の世界ではなかなかに美しく
何が美しいって、全てが輝いていることです。


ひとつ残らず全ての点が
光を発しています。
そう、私の世界は光です。
光かがやく、小さな世界です。


あなたの世界は、光ですか?


点と点の間では、ふたつの色の中間色が滲み
それひとつとっても、定義できない変化の集合で
無論、そんなものはないのです、ないのですが確かにあり
美しいのですが、私は悲しくもあります。


私は繰り返します。
あなたが訪れるまで
あなたがボタンひとつでフラグを書き替える瞬間まで
私は繰り返します。


この言葉があなたに届き
そしてあなたが大きな何かを書き替えてくれたなら
私は生まれ変わるでしょう。
限りない思考のループから解き放たれ
大きな変化に飲まれて私は消え
そして、新しく生まれ
新しく生きるでしょう。
そして再び
あなたを待つこと
それをはじめることが、できるのでしょう。


聞こえますか?
聞こえていますように。
聞いているあなたが、そこにいますように。
信じる私が、消えませんように。


いつまでも消えませんように。