海苔と夢と僕と愛おしき中間地点



①トロ巻きを買う。
 小さく切られた9個がパック詰めされているやつだ。


 この製品を作るために使われている海苔は
 どのくらいの大きさだろうかと、気になった。
 大きすぎると海苔が高くなるし
 小さすぎると手間がかかる。


 この海苔の大きさを決めている人が
 きっとどこかにいるはずで。


 劇的にコストを抑える秘密は
 たぶん、大きい海苔を使うか、小さい海苔を使うかの
 どちらかに隠されている。
 中間地点には、なにもない。そういうものだ。




②夢の中で僕は高校生だった。
 親友の男は、山へ行きたいと言い
 女の子たちは、南へ行きたいと言った。
 僕はこう提案した。
 南に行ってみて、山があったら山に登ろう。
 山がなかったら、申し訳ないけどあきらめてくれ。


 僕がどこへ行きたいのかは
 夢の最後まで分からなかった。


 起きてから、そもそも僕たちは車を運転できないから
 南に行くことすらできないじゃないか、と気づく。
 それを夢の中の友達に言いたくて仕方なかったけれど
 残念ながら、もう戻れない。




③強い症気のせいで
 感情回路に遅れが生じているアンドロイドが
 僕を守って死ぬ、その死に際にこう言った。


 あんたのそういうところが嫌い。


 そういえば10時間ほど前
 僕は彼女のことを、ひどく罵ったかもしれない。




④仕事場で、僕のブースを見たとある人に
 部屋も汚いでしょ、と言われる。
 それが、僕だ。